交通事故被害者のために弁護士が慰謝料を増額

交通事故の示談交渉が決裂したときの法的手続き(和解・調停・裁判の知識)

交通事故の被害者は、治療費がかかったり、働けないことによる収入減があったりという損害を被ります。

後遺症が残った場合には、将来、後遺症がなかったならば得られたであろう収入も減少してしまいます。

したがって、これらの損害を加害者に賠償してもらわなければなりません。

そこで、加害者側の任意保険会社と示談交渉をするのですが、必ずしも保険会社が適正な金額で示談に応じてくれるわけではありません。

互いの主張がかみ合わず示談交渉が成立しなかった場合、どうすればいいのでしょうか?

示談交渉が決裂した時、交渉の場は調停や訴訟に移ります。

今回は、被害者が訴訟を起こす場合の法的手続きや注意点などについて解説します。


示談が決裂…被害者の3つの選択肢とは?

実は、後遺障害等級が上位の等級になればなるほど示談が成立しないケースが多くなります。
それは、被害者が請求する損害賠償金額と任意保険会社が提示してくる金額の差が大きくなってしまうためです。

その場合、被害者には次の3つの選択肢があります。

①交通事故紛争処理センターでの和解斡旋
②調停
③裁判
※紛争処理センターでの解決も示談に含まれます


まずは、財団法人交通事故紛争処理センターで和解斡旋をしてもらう方法について解説します。

交通事故紛争処理センターは、自賠責保険の運用益で運営されている財団法人です。
東京本部の他、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡と全国7つ支部と2つの相談室があります。

交通事故紛争処理センターでの斡旋の仕組みは、まず相談員が交通事故の被害者からの相談を受け、加害者側の保険会社からも話も聞いたうえで、示談斡旋を行うというものです。

相談員には同センターの嘱託を受けた弁護士が就任し、裁判基準を基本として和解斡旋を行います。
ただし、注意が必要なのは、この弁護士は被害者の弁護を行うわけではなく、あくまでも示談斡旋を行う仲介役だということです。

つまり、弁護士がついていないので、被害者は損害の立証等を自分で行わなければいけないのです。
そのため、相談員の弁護士から必要な書類等について聞いたら、速やかに証拠を集めなければなりません。

通常は、期日を3~4回開いた時点で斡旋案が提示されます。
被害者と加害者双方が、この斡旋案を受け入れる場合、和解が成立します。
相談担当弁護士が立会のもとで、示談書もしくは免責証書が作成され、事件は終了します。

一方、和解斡旋が成立しない場合は、審査に移行します。
審査員は、大学の法学部の教授・助教授、裁判官経験者の弁護士、交通事故処理の経験の深い弁護士などからセンターの理事会で選任されています。

審査の場合も当事者双方から話を聞き、それに基づいて裁定を下します。
被害者は、裁定内容を告知された日より14日以内に同意または不同意をセンターに回答し、不同意の場合はセンターでの手続は終了となります。

なお、14日間を過ぎても回答のない場合は、不同意と見なされ審査終了となるので注意が必要です。

また、この期間内に保険会社から訴訟移行の要請がなされることがあります。
その場合、審査は中断し訴訟が適当かどうか判断されます。
訴訟が適当であると判断された場合、審査は終了し、調停や訴訟に移行します。

示談が決裂した場合の法的手続き① 調停とは?

加害者側の任意保険会社と交渉がまとまらず示談が成立しなかった場合、被害者は法的な手続をとらなければいけません。

交通事故の損害賠償請求をする場合の法的手続には、「調停」と「訴訟」の2つがあります。

調停とは、簡易裁判所に間に入ってもらい話し合いを行うものです。
合意に達した場合、「調停調書」という公的な和解書類を作成するという手続になっています。

調停は、あくまで「話し合い」です。
当然ながら、相手が応じなければ、いつまでたっても話し合いは解決しません。

実際は、ここまでに示談交渉で話し合ったにもかかわらず決着がつかなかったという経緯があるため、示談決裂後に調停手続は取らず、すぐに訴訟を提起することが一般的だといえます。

示談が決裂した場合の法的手続き② 訴訟とは?

訴訟とは、最終判断である「判決」を求めて裁判所に対して訴えを起こすことです。

訴訟の流れは次のように進行していきます。


①訴状提出から訴状審査

「訴状」を裁判所に提出することで、訴訟を起こすことができます。
裁判所は訴状を審査したうえで、第1回口頭弁論期日を定めます。


②被告に対する呼び出し

裁判所は、第1回口頭弁論期日を定めたうえで被告に対して訴状と呼出状を送ります。

●誰を被告にしたらいいのか?
ここで問題となるのは、被告を誰にするかということです。
まず、加害者は自らの過失によって交通事故を起こしたわけですから、その不法行為に基づく損害賠償責任を負うため、被告にします。

次に、加害者が運転していた自動車の保有者も被告にすることができます。
これは、自賠責保険法により自動車の保有者も人身損害の賠償責任を負担していることと、ほとんどの場合、自動車の保有者が任意保険にも加入していることが理由です。

さらには、その交通事故が業務時間中に起きたものなら、加害者の使用者である会社などに使用者責任が発生するので会社を被告にすることもできます。

被告を誰にするかという部分については、さまざまな観点から考えていかなければいけません。
被害者が有利になるような判断をしていくことが大切なので、この点は弁護士に相談することをお勧めします。

●被告が多ければいいというわけではない!
被告の数が多ければ多いほどいいと考える人もいると思いますが、じつはそうではないのが訴訟の難しいところでもあります。

まず、当事者が多すぎると弁護士の数も多くなるため、裁判期日の調整が困難になり裁判の期間が長引いてしまうことがあります。
また、争点が増えると裁判が長引く傾向があります。

ですから、加害者側の任意保険会社からの損害賠償金額の増額を望んでいる場合は、被告人の数を絞っていくことも考えるべきです。


③口頭弁論(主張の整理)

裁判が始まると、被害者側と加害者側の双方が、事実の主張や法律上の主張を闘わせることになります。
実際は、主に書面でのやり取りが行われます。


④証拠調べ

裁判の進行と並行して、証拠書類の提出も行っていきます。
交通事故による損害額の立証は被害者側が行わなければならないため、たとえば、治療期間中に必要となった費用の領収書など、すべて保管して整理しておかなければいけません。

また、交通事故前の収入と症状固定(これ以上の治療をしてもケガが改善しないと判断すること)後の収入についても争点になるので、できるだけ証拠となる書類などを集めておくことが大切です。

●和解勧告とは?
訴訟の期間中、主張の整理と証拠の提出が終わり、「証人喚問」に入る前になると多くの場合、裁判所から和解勧告が入ります。
和解勧告とは、「もう、この辺で和解したほうがいいですよ」というアドバイスと考えてもらっていいでしょう。

被害者としては感情面では納得できなくても、この時点で「裁判上の和解」が成立することも多くあります。
なぜなら、和解が成立せずに判決にまで至った場合の心理的プレッシャーもあるため、調停の時よりも被害者と加害者の双方ともに和解が成立しやすい状況が整っているといえるからです。

また、ここまでの訴訟の経緯から、裁判所はすでに大体の判断に対する確信を得ています。
そのため、ここで和解を拒否しても最終的には、概ね和解案と同程度の判決が出されることが多いからです。


⑤判決

ところで、判決が出されるまでの期間はどのくらいかかるのでしょうか?

一概には言えませんが、半年から1年程度は見ておいたほうがいいでしょう。
もちろん、もっと短く終わる場合もありますし、医学的な論争になってくると2~3年はかかってしまうこともあります。

そうした現実もあって、判決まで持ち込まずに和解で解決する人も多いのです。



【当事務所の解決事例】
ある夜、45歳の男性が交差点の真ん中を歩行横断中、タクシーにひかれました。
被害者男性は、脳挫傷や右足の骨折などの傷害を負い、右足可動域制限と高次脳機能障害の後遺障害を残して症状固定しました。
そこで、自賠責後遺障害等級を申請したところ、右足機能障害で12級、高次脳機能障害で7級が認定されました。
すると、困った事態が起きてしまいました。
転勤などがあったため、被害者男性は保険会社と示談交渉するタイミングを失してしまっていたのです。
そこで、時効で権利が消滅してしまうことを心配した被害者が当事務所に相談。
弁護士が保険会社と交渉しましたが、保険会社としては、被害者の収入が事故によって下がっていないので逸失利益は認められないと主張。
交渉が決裂したため、弁護士が裁判に持ち込んだ結果、逸失利益と過失割合が争点となり、最終的には6650万円の損害賠償金を手に入れることができました。

詳しい解説はこちら↓

【高次脳機能障害併合6級】6650万円を獲得





以上、示談が決裂した場合に交通事故の被害者が加害者側に対して行う訴訟を中心に解説しました。

訴訟は被害者自身やご遺族の方でも行うことができます。

しかし、訴訟での和解や裁判は、交通事故の知識のない被害者の方が一人でできるものではありません。
手続きの煩雑さや専門知識の難しさ、多くの時間をとられることなどを考えれば、とても大変なこと
だと思います。

ましてや、ご遺族の悲しみや後遺障害に苦しみ、日々の不安や心配を抱えている被害者の方にとっては、裁判はさらなる苦痛でしかないでしょう。

ですから、ぜひ一度、私たち弁護士に相談していただきたいと思うのです。

納得のいく結果を得られるまで、みらい総合法律事務所の弁護士は、被害者の方々といっしょに闘っていきます。

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