「再度異議申し立て」とは?正しい後遺障害等級を受けるために大切なこと
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交通事故の被害者の方々から、このような相談を受けることが多くあります。
・認定された後遺障害等級に納得がいかない、低すぎるのではないか?
・後遺障害等級を上げるには、どうすればいいのか?
じつは、こうした場合に「異議申し立て」をすることで、ご自身の後遺障害等級のアップを求めることができます。
そしてまた、次のような相談を受けることもあります。
・異議申し立てをしたいが、どうすればいいのか?
・異議申し立てをしたが認められなかった……あきらめるしかないのか?
こうした場合、被害者の方はどうすればいいのでしょうか?
じつは、「再度異議申し立て」をすることができます。
この記事を読むと、次のことがわかります。
- 症状固定とは?
- 後遺障害等級とは?
- 後遺障害等級の認定の仕組みとは?
- 認定された後遺障害等級に納得いかない場合はどうすればいい?
- 異議申し立てとは?
- 異議申し立てが認められない場合の対応(再度異議申し立て)
- 異議申し立てを弁護士に依頼した場合のメリット
これらの中で、ひとつでもわからないことがあるなら、ぜひこのまま読み進めてください。
これから、後遺障害等級認定の異議申立について説明していきますが、その前に、交通事故解決までの全プロセスを解説した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。
みらい総合法律事務所の実際の増額解決事例を紹介
ここでは、被害者の方から依頼を受け、みらい総合法律事務所で実際に異議申し立てをして等級が上がり、さらには慰謝料などの損害賠償金の増額も勝ち取った事例をご紹介します。
「解決事例①:46歳男性の慰謝料などが約4.7倍に増額!」
46歳の男性が自転車で走行中、対向してきたバイクに衝突された交通事故。
被害者の方は、第三腰椎圧迫骨折の傷害を負い、その後、脊柱変形の後遺症が残ってしまいました。
自賠責後遺障害等級を申請したところ11級が認定され、加害者側の任意保険会社からは慰謝料などの損害賠償金として約388万円が提示されました。
この金額に疑問を感じた被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士から「後遺障害等級が間違っている可能性がある」と指摘され、異議申し立てを希望されたため、異議申し立ての申請から示談交渉までのすべてを弁護士が進めていくことになりました。
弁護士が異議申し立てを申請したところ、後遺障害等級は8級にアップ。
次いで、保険会社と交渉を開始しましたが決裂したため、提訴。
裁判では弁護士の主張が認められ、最終的には1819万円で解決しました。
当初提示額から約4.7倍に増額したことになります。
「解決事例②:67歳女性が脊柱変形等で慰謝料などが約2倍に増額」
67歳の女性が自転車で走行中に後方からやってきた自動車に衝突され、脊柱骨折などの傷害を負った交通事故です。
治療をしましたが、残念ながら脊柱変形や左鎖骨痛などの後遺症が残ってしまったため、自賠責後遺障害等級を申請したところ、11級7号と14級9号が認定されました。
すると、加害者側の保険会社からは慰謝料などの損害賠償金として約456万円が提示されました。
この金額が適切なものかどうか判断ができなかった被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士から「まず後遺障害等級に問題がある」との指摘を受けたため、異議申し立ての申請と示談交渉の解決を依頼しました。
弁護士が異議申し立てをすると、左鎖骨痛の14級が鎖骨変形の後遺障害と認められ12級5号にアップし、併合10級が認定されました。
そこで、被害者の方からの依頼を受けた弁護士が保険会社と交渉をしたところ、最終的には900万円で解決。
当初提示額から約2倍に増額した事例です。
その他の解決事例を確認したい方はこちらから⇒https://jikosos.jp/results/
このように弁護士が示談交渉に入ると、なぜ後遺障害等級が上がったり、慰謝料などの示談金(損害賠償金)が増額するのか?
その理由について、これからお話ししていきたいと思います。
なお、みらい総合法律事務所では、どなたでも簡単に慰謝料などの損害賠償金額を知ることができる「自動計算機」をWEB上にご用意しています。
指示の通りに数字を入力していくだけですので、ぜひ利用していただきたいと思います。
交通事故の被害者に関わるさまざまな手続き
交通事故の被害にあった場合、被害者の方は治療を受けます。
治療のおかげでケガが完治すればいいのですが、残念ながらこれ以上の治療を続けても完治の見込みがない、と主治医から判断される場合があります。
これを「症状固定」といいます。
症状固定となると「後遺症」が残ってしまうことになります。
後遺症が残った場合、被害者の方には慰謝料などの損害賠償金(状況によって示談金とも保険金とも呼ばれます)を受け取る権利があります。
そこで必要になってくるのが「自賠責後遺障害等級認定」です。
なぜ後遺障害等級は必要なのか?
被害者の方が慰謝料などの損害賠償金を受け取るプロセスとしては、まず加害者側の任意保険会社から示談金額の提示があります。
この示談金額を計算するときに必要なのが後遺障害等級です。
後遺障害等級は、もっとも重度の1級から順に14級までが設定されています。
1級違うだけで、被害者の方が受け取る慰謝料などの損害賠償金が数百万円から数千万円も違ってくることもありますから、とても重要なものなのです。
【交通事故で後遺障害等級は
どのように認定されるのか?】
損害賠償金の示談交渉とは?
後遺障害等級が認定されると、加害者側の任意保険会社から示談金の提示があります。
この金額で納得した場合は示談交渉には進まず、示談成立となります。
しかし、ここで注意が必要なのは、保険会社が提示してくる金額は、被害者の方が受け取るべき金額より低いことが多いということです。
ですから、保険会社の言うことを信じて、そのまま示談を成立させてはいけないのです。
【交通事故でケガを負った場合の後遺傷害慰謝料の算定方法とは?】
後遺障害等級の異議申し立てとは?
保険会社は営利法人ですから、利益を増やして、少しでも支出を減らしたいと考えます。
被害者の方への保険金(示談金、損害賠償金ともいいます)は支出ですから、保険会社はできるだけ低い金額を被害者の方に提示するわけです。
ところで、その前にもうひとつ、被害者の方の慰謝料などの損害賠償金額が低くなってしまう原因があります。
それは、認定された正しいはずの後遺障害等級が間違っている場合です。
「しかるべき機関が判断するのだから、認定された後遺障害等級が間違っているわけない、正しいはずだ」
と考えている人も多いと思いますが、じつは、等級が間違えていることがあるのです。
たとえば、申請の際に提出した書類で足りないものがあった、医師に作成してもらった診断書に不備があった、などの理由が考えられます。
ですから、認定された後遺障害等級をそのまま信じてしまってはいけないのです。
では、ご自身が認定された後遺障害等級に不満がある場合はどうすればいいのかというと、被害者の方は「異議申し立て」をすることができるのです。
異議申し立ては何度でもできる!その場合の注意ポイントとは?
ところで、ここでまた問題が起きることがあります。
それは、異議申し立てが認められなかった場合です。
こうした場合、被害者の方はあきらめるしかないのでしょうか?
結論としては、あきらめる必要はありません。
認定された後遺障害等級に不満、不服がある場合は、損害保険料率算出機構という認定機関に対し、何度でも異議申し立てをすることができます。
異議申し立てができるのは1回だけではないのです。
認定されている後遺障害等級がある場合、それを覆さない限り、裁判になってもほとんどの場合、認定どおりの後遺障害が残存するものとして認定されてしまいます。
ですから、既に認定されている等級に不服がある場合、そのままであきらめるのではなく、その時点で(自賠責等級を争う時点で)異議申し立てをして認定を覆しておく必要があります。
再度異議申し立てをする場合の注意点
では、再度異議申し立てをして、認定等級を覆すにはどうしたらよいのでしょうか?
後遺障害等級認定の結果は、「被害者請求」をした場合は自賠責保険会社から直接送られてきますし、「一括払事前認定」の場合には、任意保険会社を経由して送られてきます。
等級の結果のほかに、「認定の理由」が必ず送られてきますので、それをよく読み、間違いがないか、誤った判断がなされていないかどうかを検討します。
さらに、その後の異議申し立ての結果、認定を覆すことができなかった場合にも同様に「理由」が必ず送られてきますので、その部分も十分検討する必要があります。
その検討に必要な知識とは、後遺障害等級認定の要件です。
どのような場合に何級が認定されるのか、という各要件に精通していなければ正しい判断はできません。
ですから、正しい判断をするためには、自らが後遺障害等級認定の要件に詳しくなるか、もしくは精通している専門家に相談することが必要です。
たとえば、少し専門的な話になるのですが、ここでは高次脳機能障害について考えてみましょう。
高次脳機能障害で後遺障害等級認定を受けるためには、一般的に次の要件が必要になります。
① 意識障害があること
② 急性期における脳内出血の存在
③ 外傷後3ヵ月以内に脳室拡大・脳萎縮があること
④ 日常生活における種々の能力(意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力等)が欠けていること
そのため、各要件を充たすには一定の書式に基づいて医師や親族が書面を作成する必要があります。
そして、同じく高次脳機能障害といっても障害の程度によって等級が異なるので、各書面をどのように記載するかによっても認定される等級が変わってきます。
さらに、意識障害に関する医師の所見がない場合、等級認定の審査においては、意識障害がないことになり、高次脳機能障害の認定を受けられなくなりますが、仮に看護記録に意識障害と記載されている場合や、救急隊の救命時の記録に意識障害を伺わせる記述があったりするならば、そのような資料を異議申し立て時に添付して要件を満たす努力をします。
このように、具体的にある等級が認定されるための要件は何か、そのためにはどのような資料を揃えなければならないかを専門的な知識に基づいて十分に検討する必要があるのです。
どうでしょうか……異議申し立てをして、納得のいく後遺障害等級の認定を受けるのは難しいですね。
このように、後遺障害等級認定の異議申立は、後遺障害等級認定システムの要件や医学的知識がないと難しいものです。
一度、弁護士に相談してみましょう。
異議申し立ては出し続けることも大切
なお、損害保険料率算出機構に対する異議申し立ての他、自賠責保険紛争処理機構に対する紛争処理申請(異議申し立て)をすることもできます。
ただし、これは最後にしたほうがよいと思われます。
なぜなら、損害保険料率算出機構は、事実上、紛争処理機構の出した判断に従う扱いをしているので、再度、損害保険料率算出機構に異議申し立てをしても同じ結論になってしまう可能性が高いからです。
また、紛争処理機構は、一度出した判断に対する異議申し立ては受け付けず、さらに異議申し立てすることはできなくなるからです。
以上を前提に、損害保険料率算出機構に再度、異議申し立てをするか、自賠責保険紛争処理機構に申請をするかを判断するようにしましょう。
後遺障害等級のことは専門家に相談を!
事例からもおわかりいただけるように、交通事故の被害者の方が弁護士に相談・依頼すると、後遺障害等級が上がり、慰謝料などの損害賠償金が増額する場合が多いのは、なぜでしょうか?
まず、後遺障害等級がアップするのは、弁護士がそのために必要な後遺障害等級や医学的な知識などを知っているからです。
異議申し立てというのは、ただ「等級に納得いかないから上げてほしい」とクレームのようなことをいっても認められるものではありません。
・何等級が認められるためには、どのような条件が必要なのか
・医学的に必要な資料やデータはどういうものか
・そのためには医師からどのような診断を受けて、診断書にはどのように記載してもらうべきなのか
といった専門的なことがわかっていないと、正しく異議申し立てをすることはできないのです。
また、慰謝料などの損害賠償金を増額させるためには、その証拠をそろえ、加害者側の保険会社としっかり交渉をして納得させることが必要です。
そのためには、交通事故の法律から損害賠償、保険、医学までさまざまな専門的知識がなければ不可能です。
したがって、交通事故で後遺障害等級をアップさせたり、慰謝料を増額させたりするには、専門的知識が必要であり、それを持っているのは、日常的に交通事故を扱っている弁護士である、ということがいえるのです。
【交通事故の慰謝料は弁護士に依頼すると、なぜ増額することが多いか?】