治療費打ち切りについて
2005年10月26日
交通事故の相談を受けていて、被害者が迷うことの一つに、保険会社による治療費打ち切りの問題があります。
交通事故により、傷害を負って、治療を継続しているにもかかわらず、途中で保険会社から「今月で治療費の支払をやめますので、治療を打ち切ってください。」という趣旨の発言がなされるのです。
保険会社は、治療費を支払う際には、被害者から医療照会の同意書を取り、病院に対して医療照会をし、かつ診療報酬明細書や診断書を徴求します。
それを保険会社の顧問医に見てもらったりしながら、相当な治療かどうかを判断します。
その結果、すでに治癒ないし症状固定と判断したときは治療費打ち切りを通告してきます。
しかし、これは保険会社が勝手に判断して打ち切っているだけのことです。
医師は、医師法第20条により、自ら診察しないで治療をしたり、診断書を交付したりしてはいけないことになっています。
保険会社の顧問医は、治癒ないし症状固定と診断する何らの権利も有していないし、被害者に治療をやめさせる何の権限も持っていません。
被害者としては、主治医とよく相談して、治療効果が上がっている限りは治療を継続すべきです。
ただし、保険会社からの治療費支払いがなくなりますので、以後は、治療費を立て替えて支払わなければなりません。
支払った治療費は、後で示談ないし訴訟において精算されることになります。
被害者としては、賠償よりも、まずは傷害が治癒することが第一です。
治療に専念しましょう。