交通事故被害者のために弁護士が慰謝料を増額

遷延性意識障害(植物状態)の損害項目

損害賠償の内容

加害者側に請求できる損害賠償の内容としては、財産的損害と精神的損害があり、財産的損害は、積極損害 (事故がなければ支払う必要がなかった出費)と消極損害(事故がなければ得られたはずの減収分)に分かれます。
精神的損害は、慰謝料のことです。

損害賠償算定基準は、前述の「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「裁判基準」の3種類があります。
裁判基準とは、 訴訟をした場合に裁判所で認められる金額を基準化したもので、裁判基準が最も高額になります。
裁判所で判決ないし和解をした場合には、任意保険会社は、自社基準を上回る場合でも支払をしてくれます。

任意保険会社も無限に支払原資があるわけではありませんから、なるべく支払を抑えようとします。
そこで、 任意保険基準が裁判基準よりも低額になるのです。任意保険会社から提示された金額を公正なものと安易に考えないことが大切です。

以下は、「裁判基準」です。この裁判基準は、 東京三弁護士会交通事故処理委員会及び財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部共編の「損害賠償額算定基準」(赤い本) 2006年版によるものであり、東京地裁民事27部交通部は、基本的にこの基準によっています。

積極損害

1. 治療費

「必要かつ相当な額」です。
実際に治療をしたからといって、全部が認められるわけではありません。

必要かつ相当でない治療とは「過剰診療」(医学的必要性ないし合理性が認められない診療行為)や「高額診療」(治療費が、 社会一般の診療費水準に比べて著しく高額な場合)をいいます。

2. 付添看護費

入院の際の職業付添人は、実費全額。但し、医師の指示書をもらいましょう。
入院の近親者付添人1日 6,500円
通院付添費
(付添が必要と認められる場合)
1日 3,000円
職業付添人による自宅介護費実費全額
近親者による自宅介護費1日 8,000円

3. 入院雑費

1日 1,500円

4. 通院交通費

公共交通機関ないし自動車等の実費を原則とし、必要と認められるときはタクシー代を支給。
入院付添が必要な場合には、 付添人の交通費も実費。

タクシー等領収証が出る場合は、必ずもらっておきましょう。

5. 自宅等改造費

必要かつ相当額は認められます。

6. 修理代

修理費相当額が認められます。

全損もしくは修理が著しく困難場合には、事故時の時価相当額と車の売却代金の差額が認められます。

評価損(格落ち損)は、修理しても外観や機能に欠陥を生じ、または事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に認められる場合があります。

7. 代車料

修理相当期間または買換相当期間中、レンタカーを使用する等で費用がかかった場合には、必要なグレードの代車であることを条件に認められます。

高級外車の代車としては、国産高級車で十分代替できると判断される傾向にあります。

8. 休車損

被害車両が営業者(タクシー、トラック等で適法なもの)の場合には、修理相当期間ないし買換期間中、利益相当額が認められる。

9. 弁護士費用

判決での認容額の10%が認められます。

但し、これは損害賠償として認められる金額であり、 実際の弁護士費用は弁護士との契約で定まるものであり判決はその一部を加害者の負担とする意味を持つものでしかありません。

10.将来介護費

医師の指示により必要とされた場合や、植物状態などの症状の程度により、 必要があると認められたときに被害者本人の損害として認められます。

将来介護費は、以下の計算式によって計算されます。

将来介護費=基準となる額×生存可能期間に対するライプニッツ係数

・基準となる額について
基準となる額として、職業付添人は実費全額であり、近親者付添人は1日につき8000円が目安とされています。

もっとも、これは目安であり、具体的事情によっては増減することがあります。

・生存可能期間について

生存可能期間は、原則として平均余命年数に従います。

11.将来雑費

将来介護が必要となる被害者については、紙おむつ代、タオルや手袋などの将来雑費を請求できる可能性があります。

そのため、介護のために必要となる雑費の領収書は、訴訟等で立証できるように、きちんと保存しておくことが必要です。

12.成年後見開始等の審判手続費用

被害者が遷延性意識障害(植物状態)になってしまったときや、正常な判断を行うことができない状態になってしまったときには、 本人に代わって訴訟追行等の手続を行うため、成年後見人、保佐人または補助人を選任する必要があります。

これらの審判手続に要した費用については、必要かつ相当な範囲で損害として認められています。

消極損害

1. 休業損害

事故前の収入を基準に、交通事故により休業したことによる現実の収入減少分です。勤務先から休業損害証明書をもらいましょう。

忘れず含めるものとしては、定期昇給・定期昇格・賞与減額・不支給・有給休暇カット等。

自営業等の事業所得者は、現実の収入減少分が損害となります。休業中の固定費(賃料や従業員の給料、リース代) は必要やむを得ない部分はみとめられます。

社役員の報酬は、労務対価部分は休業損害となりますが、会社の利益配当としての意味を持つ部分は休業損害とはなりません。

家事従事者は、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者の全年齢平均の賃金額を基礎として、 交通事故のために家事労働に従事できなかった期間について認められます。
パートや内職等をしている場合は、 現実の収入減少分と上記平均賃金額の高い方を基礎として計算します。

無職の者は、平均賃金より低い金額で認められます。

2. 逸失利益

逸失利益は、後遺障害が残った場合に、当該後遺障害が残ることにより減少した収入額のことです(「差額説」といいます)。

(1) 逸失利益の計算方法
事故前の年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(中間利息の控除)

(2) 症状固定時に18歳未満の未就労者の場合
基礎収入額×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数 ? 18歳に達するまでのライプニッツ係数)

慰謝料

1. 傷害慰謝料

交通事故の損害賠償には、財産権の損害賠償と財産権以外の損害賠償の2つがあります。このうち、財産権以外の損害、すなわち、精神的・ 肉体的苦痛による損害の賠償を慰謝料といいます。

交通事故による損害賠償=慰謝料ではありません。
慰謝料は、精神的・ 肉体的苦痛による損が賠償です。

それ以外に、財産的損害として、治療費、看護費、通院費、休業損害、後遺障害による逸失利益その他、多種多様な損害があります。

交通事故損害賠償では、それら項目毎に区別して考えます。
慰謝料は、精神的・ 肉体的苦痛による損害賠償ですから、本来、人毎に異なるはずです。
しかし、判例では、交通事故のような同種・大量な事件処理において、被害者毎に公平に、かつ迅速に慰謝料の算定をするために、定額化する努力をしてきました。(いわゆる相場の形成)

その結果、 交通事故の損害賠償においては、慰謝料は、だいたいの相場といったものが形成されています。
入院慰謝料と後遺障害慰謝料に分けられます。

入院慰謝料は入院期間に応じ、後遺障害慰謝料は、後遺障害等級1級になった場合は裁判基準で2,800万円です。

加害者に故意もしくは重過失または著しく不誠実な態度があるときは、慰謝料額が増額される場合があります。

2. 近親者による固有の慰謝料

遷延性意識障害(植物状態)の場合には、近親者にも固有の慰謝料が数百万円認められる場合があります。

過失相殺

被害者にも過失がある場合には、その過失割合で損害賠償額が減額されます。

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