政府保障事業
政府保障事業とは
通常、自動車事故により負傷した被害者は、加害車両に契約されている自賠責保険(共済)または任意保険によって、 被った損害を填補します。しかし、加害者が分からない「ひき逃げ事故」や加害車両に自賠責保険(共済)が契約されていない「無保険事故 (無共済保険事故を含む)」の場合は、自賠責保険又は自賠責共済による救済を受けることができません。そのような場合に、 政府がその被害者に対し、最小限度の救済を図ることを目的として、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき保障事業を行っているものです。 この制度は、人身に対する損害のみを対象としており、物損については、填補の対象になりません。
政府保障事業から填補があった場合いは、その限度において、被害者の加害者等に対する損害賠償請求権について、政府が代位して、 加害者に請求することになります。つまり、その填補額の限度において、被害者は、損害賠償請求権を失います。
時効
請求ができる期間は、請求の区分ごとに次のとおりとなります。
| 請求の区分 | いつから | 時効 |
|---|---|---|
| 傷 害 | 治療終了日 | 事故発生日から2年以内 |
| 後遺障害 | 症状固定日 | 症状固定日から2年以内 |
| 死 亡 | 死亡日 | 死亡日から2年以内 |
傷害事故の場合は、事故日の翌日(午前0時の場合は当日)から、後遺障害の場合は、症状固定日の翌日(午前0時の場合は当日)から、 死亡事故の場合は、死亡日の翌日(午前0時の場合は当日)から数えて2年を経過すると、 時効により政府保障事業に対し損害を請求することができなくなります。また、政府の保障事業への請求は、自賠責保険のように、 時効の中断手続きはできません。したがって、損害の請求は、必ず上記期間内に手続きをして下さい。
請求する資格がある人(請求権者)
1. 傷害・後遺障害の場合は、被害者本人又は被害者から委任を受けた方が請求することができます。 被害者本人が請求する時点で未成年の場合は、親権者(父母など)が請求権者となります。
2. 死亡の場合は、法定相続人又は慰謝料請求権者(被害者の配偶者・子及び父母)が請求することができます。 法定相続人及び遺族慰謝料請求権者が複数いる場合は、原則として、そのうちの1人が代表者として請求し、その他の方は、 代表者に請求を委任することになります。
請求窓口
保険会社などの窓口で受付しています。窓口を開設していない保険会社もありますので、事前に各保険会社にご確認下さい。請求書類・ 手続方法などの詳細についても、請求窓口に相談して下さい。
支払額から差し引かれる金額とは
事故により被害者が受けた損害の総額から、被害者側に重過失(7割以上)がある場合は、一定割合を差し引きます。この割合は、 自賠責保険と同様です。また健康保険や労災保険などの社会保険による給付額(給付を受けるべき額を含む)や賠償責任者の支払額(損害賠償金) も差し引きます。この差し引かれた金額を填補対象額といい、この金額が一般的には填補額となります。ただし、填補対象額が、 填補限度額を超える場合は、その填補限度額が填補額となります。
※填補限度額とは、 法定限度額から健康保険又は労災保険等の社会保険などによる給付額及び賠償責任者の支払額を差し引いた金額のことをいいます。
傷害事故・後遺障害事故・死亡事故における法定限度額と請求できる損害の範囲及び填補基準とは
(注1): 事故日が平成14年4月1日以降の場合に適用。なお、( )内の数字は、 事故発生日が平成14年3月31日以前の場合に適用。 (注2): 1回の事故による被害者1名について、以下のとおりです。
<傷害事故・法定限度額:120万円>
治療関係費・文書料・休業損害及び慰謝料が損害の範囲となります。なお、物損(車両の損害など)については支払われませんが、 被害者が負傷した際、眼鏡・補聴器など身体の機能を補うものが破損した場合には、例外的にその費用についても支払われます。
| 損害の範囲 | 内容 | 基準 |
|---|---|---|
| 治療費 | 診察料・入院料・投薬料・手術料・処置料・通院費・柔道整復等の費用など。 | 必要かつ妥当な実費 |
| 看護料 | 入院中の看護料(原則として12歳以下の小学生に近親者等が付き添った場合)自宅看護料又は通院看護料 (医師が看護の必要性を認めた場合又は12歳以下の小学生の通院等に近親者等が付き添った場合) | 入院1日につき4,100円(4,000円)。自宅看護料又は通院1日につき2,050円(2,000円)。 これ以上に収入減の立証がある場合、近親者は19,000円、近親者以外は地域の家政婦料金を限度として、その実額。 |
| 諸雑費 | 入院中の諸雑費。 | 原則として入院1日1,100円 |
| 義肢等の費用 | 義肢・歯科補てつ・義眼・眼鏡・補聴器・松葉杖等の費用。 |
必要かつ妥当な実費。
眼鏡の費用は、50,000円が限度。 |
| 診断書等の費用 | 診断書・診療報酬明細書等の発行手数料。 | 必要かつ妥当な実費。 |
| 文書料 | 交通事故証明書・印鑑証明書・住民票等の発行手数料。 | 必要かつ妥当な実費。 |
| 休業損害 | 事故による傷害のために発生した収入の減少(有給休暇を使用した場合、家事従事者の場合を含む) | 1日につき5,700円(5,500円)。これ以上に収入減の立証がある場合は、19,000円を限度としてその実額。 |
| 慰謝料 | 精神的・肉体的な苦痛に対する補償。 | 1日につき4,200円(4,100円)。対象となる日数は、治療期間の範囲内。 |
<後遺障害を残した事故・法定限度額:4,000万円(3,000万円) ~ 75万円>
※等級により異なります。
後遺障害等級によって、逸失利益及び慰謝料などが支払われます。後遺障害の等級・法定限度額は、「神経系統の機能又は精神・ 胸腹部臓器に著しい障害を残し、常時又は随時介護を要する後遺障害」と「それ以外の後遺障害」ごとに定められています。
1. 神経系統の機能又は精神・胸腹部臓器に著しい障害を残し、常時又は随時介護を要する後遺障害
法定限度額:4,000万円(第1級)、3,000万円(第2級)
2. 上記1.以外の後遺障害
法定限度額:3,000万円(第1級)、 ~ 75万円(第14級)
| 損害の範囲 | 内容 | 基準 |
|---|---|---|
| 逸失利益 | 身体に障害を残し、労働能力が減少したために、将来発生するであろう収入減。 | 収入及び各等級(第1 ~ 第14級)に応じた労働能力喪失率、喪失期間等により計算します。 |
| 慰謝料等 | 精神的・肉体的な苦痛に対する補償等。 |
上記1.の後遺障害1,600万円(第1級)、1,163万円(第2級)。なお、 初期費用等として500万円(第1級)、205万円(第2級)が加算されます。上記2.の後遺障害1,100万円(1,050万円)(第1級) ~ 32万円(第14級)上記1.及び2.の後遺障害において、第1 ~ 第3級で被扶養者がいるときは増額されます。 |
<死亡事故・法定限度額:3,000万円>
葬儀費・逸失利益・被害者本人の慰謝料及び遺族の慰謝料が支払われます。
| 損害の範囲 | 内容 | 基準 |
|---|---|---|
| 葬儀費 | 通夜・祭壇・火葬・埋葬・墓石などに要する費用。墓地・香典返しなどは含まれません。 |
60万円。
立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100万円の範囲内で妥当な額。 |
| 逸失利益 | 被害者が死亡しなければ将来得ることができたと考えられる収入額から、本人の生活費を控除したもの。 | 収入及び就労可能期間、被扶養者の有無等を考慮の上、計算します。 |
| 慰謝料 | 被害者本人の慰謝料。 | 350万円。 |
| 慰謝料 |
遺族の慰謝料。
遺族慰謝料請求権者(被害者の配偶者・子及び父母)の人数により金額が異なります。 |
請求者1名の場合550万円(500万円)、2名の場合650万円(600万円)、3名以上の場合750万円 (700万円)。被害者に被扶養者がいるときは、更に200万円が加算されます。 |
填補の対象にならない場合とは
おおむね以下のような場合です。
1. 既に時効により請求権が消滅している場合。
2. 加害車両あるいは被害車両(同乗者の場合)の自賠責保険に請求できる場合。
3. 加害者等と示談が成立しており、損害賠償金が支払われている場合。
4. 自損事故の場合。
5. 被害者側の一方的な過失による事故の場合。
6. 被害者側の過失に伴う減額と健康保険や労災保険等の社会保険による給付額及び賠償責任者の支払額の合計が、損害の総額を超える場合。
7. 健康保険や労災保険等の社会保険による給付額及び賠償責任者からの支払額の合計額が、法定限度額を超える場合。
8. 加害車両が、自賠責保険の対象車種から除外されている農耕作業用小型特殊自動車(小型耕運機等)や軽車両(自転車等)の場合。
請求に必要な書類
請求の区分(傷害・後遺障害・死亡)・損害の範囲に応じて、下記の書類が必要となります。請求の区分等によっては、 必要ない書類などもありますので、詳細は、請求する損害保険会社の窓口にお問い合わせ下さい。
- 保障事業への損害の填補請求書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 診断書
- 後遺障害診断書
- 死体検案書又は死亡診断書
- 診療報酬明細書
- 通院交通費明細書
- 薬局領収書(院外処方の場合)
- 健康保険等の被保険者証コピー
- 休業損害証明書(給与所得者の場合)
- その他損害を立証する書類・領収書など
- 振込依頼書
- 委任状
- 印鑑証明書
- 住民票
- 戸籍謄本又は除籍謄本
- 念書







