交通事故被害者のために弁護士が慰謝料を増額

交通事故における逸失利益で被害者が損をしないための知識

交通事故は、ほんの数秒前まで、今までと何も変わらない日常を送っていた人の「当たり前の人生」を奪ってしまいます。

ケガのために健康が失われれば、後遺障害を背負うことになります。
また、仕事ができなくなれば収入を失ってしまいます。

このように、被害者が後遺障害によって、交通事故前の労働を行うことができなくなり、将来の収入が減少するために失われる利益「逸失利益」といいます。

今回は、被害者が後遺障害を負ってしまった場合と死亡してしまった場合のそれぞれの逸失利益について解説します。

後遺障害逸失利益とは?

後遺障害逸失利益とは、交通事故で後遺障害を負ったことで働くことができなくなり、将来の収入が減少するために失われる利益のことです。

次の計算式によって後遺障害逸失利益を算出されます。

(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数)

1.基礎収入

基礎収入については、就労形態等によって算定方法が異なるため、ここでは就労形態別に説明をします。


①給与所得者
原則として、事故前の収入を基礎収入とします。
通常、証明資料としては、事故前の源泉徴収票や課税証明書などが用いられます。

ただし、現実の収入が賃金センサスの平均賃金以下の場合であっても、平均賃金程度の収入が得られる蓋然性があれば、平均賃金を基礎収入とすることもあります。
また、30歳未満の若年労働者の場合は、全年齢平均の賃金センサスを用いることを原則としています。

ちなみに、賃金センサスとは、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の結果をまとめたもので、たとえば「日本人で、30歳の会社員であれば平均賃金が〇万円」というように、就労形態別の労働者の賃金の実態がわかるようになっています。

被害者が将来昇給することが確実であるような事情がある場合には、昇給を考慮した金額を基礎収入とすることもあります。


「当法律事務所の解決事例」
48歳の男性が交通事故にあい、左脛骨高原骨折の傷害を負ってしまいました。
その後、治療をしましたが、残念ながら神経症状の後遺障害が残ってしまい、自賠責後遺障害等級は12級13号が認定されました。
加害者側の任意保険会社との交渉に入ると、示談金として提示されたのは54万4700円。
この金額は低すぎると感じた被害者は、しかし自分自身での交渉ではどうすることもできず当法律事務所に交渉を依頼しました。
保険会社は、「後遺障害等級はついたが、被害者の年収は下がっていないのだから仕事に支障はなく、逸失利益は認められない」と主張しましたが、弁護士は粘り強く交渉して逸失利益を認めさせることに成功。
最終的には保険会社提示額の約18.3倍の1000万円に増額することができました。

詳しい解説はこちら⇒
【後遺障害12級13号】約18.3倍に増額




②個人事業者
原則として、事故前年の確定申告所得額を基礎収入とします。

ただし、節税対策などのために収入を過少申告しているようなケースでは、裁判所としても、納税義務をきちんと果たしていないのに損害金だけは実際の収入額に応じてもらえる、というような事態を安易には認めるわけにはいかないので、証明のハードルはかなり高くなります。
もし、現実の収入額を基礎収入としたい場合には、修正申告をした方がよいでしょう。

なお、確定申告をしていない場合でも、相当の収入があったと認められる時には、賃金センサスの平均賃金を基礎とすることが認められています。




③主婦
通常、専業主婦の場合でも家事労働を行っているため、逸失利益が認められます。
家事労働を行なうのが妻ではなく夫であるという場合でも、逸失利益は認められます。

ただし、逸失利益として認められるための家事労働は、他人のために行う家事労働であることが必要であるため、一人暮らしで自分だけのために家事を行っている場合は、原則として逸失利益は認められません。

主婦の逸失利益を算定する場合の基礎収入は、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者全年齢平均の賃金を基礎収入とします。

なお、仕事をしている主婦の場合には、実収入が平均賃金以上のときは、実収入に従い、それ以下のときは平均賃金に従うこととされています。
つまり、パート収入がある兼業主婦であっても、通常そのパート収入部分は基礎収入に加えられない、ということに注意をしてください。




④会社役員
会社の代表者や役員の場合は、役員報酬のうち、労務提供の対価部分と利益配当の部分を分けて、労務提供の対価部分のみを基礎収入とします。

ただし、労務提供の対価部分と、利益配当部分を明確に分類するのは困難な場合もあるため、実際には、会社の規模や収益の状況、被害者の地位、業務内容等を考慮して、具体的な事案ごとに判断することになります。




⑤失業者
労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性があるときは、原則として失業以前の収入を参考として基礎収入が決められます。
ただし、失業以前の収入が賃金センサスの平均賃金以下であっても、平均賃金を得られる蓋然性があれば、男女別の平均賃金によることとなります。

就労の蓋然性については、被害者の年齢やそれまでの職歴、事故当時就職活動をしていたかなどの事情等を考慮して判断されることになります。

就労の蓋然性があると判断された場合、基礎収入は、再就職によって得られるであろう収入を基礎とします。
また、就職が内定していた場合には、その就職先の賃金が基礎収入となります。
就職活動はしているが、就職先は未定であるという場合は、失業前の収入を参考にします。




⑥学生や幼児など
被害者が学生や幼児の場合、将来の収入額を算定するのは困難です。
そこで、原則として、生涯を通じて全年齢平均賃金又は学歴平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合については、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の男女別労働者全年齢平均の賃金を基礎収入とします

なお、女子の場合は男女別ではなく、全労働者平均賃金で計算すべきという判例があるので、その判例に沿って主張すべきです。




⑦高齢者
高齢者の場合、就労の蓋然性があれば原則として、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の男女別労働者全年齢平均の賃金を基礎収入とします
場合によっては、年齢別平均賃金で計算されることもあります。



2.労働能力喪失率

労働能力喪失率は、交通事故によって生じた後遺障害等級によって決まっています。
1級から14級まであり、次のようになっています。

自賠法別表第1

等級労働能力喪失率
1級100/100
2級100/100

自賠法別表第2


等級労働能力喪失率
1級100/100
2級100/100
3級100/100
4級92/100
5級76/100
6級67/100
7級56/100
8級45/100
9級35/100
10級27/100
11級20/100
12級14/100
13級9/100
14級5/100

たとえば、14級の後遺障害では5%、7級の後遺障害では56%の労働能力が喪失されたと考えられます。
3級以上の後遺障害では100%の労働能力喪失、つまり、労働能力が完全に失われたと考えられます。

もっとも、上記基準は確定的なものではなく、具体的な状況に応じてその労働能力喪失率が上下することがあります。

たとえば、次のような判例があります。

ピアノ講師の女性(当時33歳)が交通事故被害にあい、頸部捻挫、両側下腿打撲、顎関節症、視力低下障害、右腕の痛み、握力低下および無排卵症などの傷害を負い、後遺障害等級14級(基準では5%の労働能力喪失率)を認定されたが、将来にわたってピアノ講師への復職が不可能になったと主張した事案で、頸部捻挫などの影響で症状固定後も症状が残存することを理由に、就労可能34年間、10%の労働能力喪失率で逸失利益を認めた。(神戸地裁 平成12年11月20日判決)

13歳女子中学生が5級相当(基準では79%の労働能力喪失率)の知能低下、運動障害の後遺障害を負った事例で、100%の労働能力喪失を認めた。(大阪地裁 平成7年7月14日判決)

3.労働能力喪失期間

就労可能年数は、原則として67歳までとされるため、労働能力喪失期間は、原則として67歳までの期間とされています。
ただし、未だ就労していない未成年者や高齢者については修正が加えられています。

具体的には、下記の就労可能年数とライプニッツ係数表から、労働能力喪失期間(就労可能年数)におけるライプニッツ係数を把握することになります。
なお、その際に当てはめる「年齢」とは事故時のものではなく、症状固定時での年齢を意味します。

ちなみに、ライプニッツ係数とは、将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことをいいます。
専門的には、「中間利息を控除する」という言い方をします。

死亡逸失利益とは?

死亡逸失利益とは、交通事故の被害者が生きていれば得られたはずの利益のことです。

後遺障害が残ってしまった場合と同様に、将来に得られたはずのお金を算定し、その金額を現段階で一時金として受け取ることを前提に、中間利息を控除します。

後遺障害逸失利益の場合と異なるのは、死亡の場合には、その時点で100%所得がなくなるので、労働能力喪失率は100%になることです。
また、生きていれば、生活費にお金がかかるはずなので、後遺障害逸失利益の場合と異なり、生活費でかかるであろう割合を差し引くことになります。
これを「生活費控除」といいます。

死亡逸失利益は次の計算式から算定します。

(基礎年収)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)×(1-生活費控除率)


1.基礎年収

ここでの基礎年収は、後遺障害逸失利益でみた基礎収入のほか、国民年金などの年金収入も含まれます

働いている人の場合は事故前年の年収を基本に算出します。
ただし、30歳未満の若年有職者は、原則として学歴別の全年齢平均賃金を基礎とします。

また、無職者(18歳未満を含む)の場合は、男女別全年齢平均賃金で算出するのが原則ですが、女子の場合は全労働者で算定することもあります。


2.就労可能年数に対するライプニッツ係数

就労可能年数は、原則として18歳から67歳とされています。
したがって、18歳以上であれば、事故時までの年齢を差し引いた年数に対応するライプニッツ係数で計算します。

高齢者で、67歳を過ぎても働いている場合には、その後何年くらい働く蓋然性があるかで判断します。
年金をもらっている場合には、年金の種類にもよりますが、その年金額も考慮します。


3.生活費控除

生活費控除とは、生きていればかかったはずの生活費分を、基礎収入から差し引くことです。

裁判所も使用する民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称、赤い本)に記載されている生活費の控除率は次の通りです。


•一家の支柱(被扶養者1人)の場合
…40%

•一家の支柱(被扶養者2人以上)の場合
…30%

•女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合
…30%

•男性(独身、幼児等含む)の場合
…50%


被害者が男性の場合には、生活費控除率は50%とされるのが通常です。ただし、一家の大黒柱で被扶養者がいる場合には、その人数により30%~40%になる場合があります。
被害者が女性の場合には、働いている人でも幼児でも同様に30%程度で算定されるのが通常です


「当法律事務所の解決事例」
77歳・女性の交通死亡事故で、ご遺族である子供2人が刑事事件から関与したいと希望していました。
しかし、自分達ではどうすればよいかわからず、当法律事務所に交渉を依頼されました。
ご遺族が刑事事件に被害者参加した後、示談交渉が開始。
加害者側の任意保険会社は、被害者の過失が大きいことと、職業がないために逸失利益が認められないことを主張。
示談金として、1914万6100円を提示しましたが、当法律事務所の弁護士は増額可能と判断して提訴。
最終的には約1700万円も増額し、示談金額3600万円で解決しました。

詳しい解説はこちら⇒
【死亡事故】77歳で3600万円の獲得






以上、交通事故被害者の損害賠償請求における逸失利益について解説しました。

逸失利益の算定は複雑でとても難しいため、専門知識のない被害者やご遺族が加害者側の保険会社と交渉していくのは、正直なところ大変な苦労をされると思います。

しかし、「当法律事務所の解決事例」からもおわかりのように、弁護士に依頼していただければ、示談金が増額するケースがとても多くあります

被害者やご遺族は、示談交渉や訴訟で大変な思いをする必要はありません。
法律の専門家である弁護士が粘り強く交渉をすることで、必ず正しい金額の損害賠償金を勝ち取ることができます。

交通事故の逸失利益で争いになった場合は、まずは一度、当法律事務所にご相談ください。

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