交通事故被害者のために弁護士が慰謝料を増額

高次脳機能障害で賠償請求が可能な損害項目

高次脳機能障害という後遺障害が残った場合に,請求できる損害項目としては,一般的に次のものが考えられます。


①治療費

②入院雑費

③通院交通費

④付添介護費用

⑤休業損害

⑥傷害慰謝料

⑦後遺障害慰謝料

⑧逸失利益

⑨将来治療費等

⑩将来介護費

⑪成年後見申立費用

⑫医療器具等購入費

⑬自宅改造費用

⑭車両購入費・改造費

⑮将来雑費

⑯近親者慰謝料

⑰弁護士費用


以下,損害項目ごとに概説します。


①治療費

現実に支出した金額を請求します。

ただし,治療の必要性・相当性がないときには,過剰診療又は高額診療として,賠償金に組み入れることが否定される場合があります。

なお,原則として事故日から症状固定日までの期間の治療費を請求することになりますが,高次脳機能障害のような重篤な後遺障害の場合には,後述のように症状固定後の治療費も将来治療費として請求していく余地があります。


②入院雑費

入院1日につき1500円を請求します。
 
入院雑費は,洗面用具や寝具,軽食,新聞雑誌代,電話代などの,入院に伴う様々な雑費を意味します。
 
本来,上記雑費を請求するためには,日々の領収書等を証拠として示す必要がありますが,それでは煩雑であることから,特に領収書等が存在しなくても日額1500円という定額の雑費が認められています。


③通院交通費

電車やバスなどの公共交通機関を用いた際の金額,自家用車であれば実費相当額(ガソリン代や駐車場代など)を請求できます。

タクシー代の場合には,足が麻痺しているため歩けないなど,タクシーの利用が相当と認められる場合であることが必要です。


④付添介護費用

医師の指示がある等,付添が必要と認められる場合に,以下の金額を基準として請求することができます。

入院付添費として,職業付添人では実費,近親者付添人では1日6500円。

通院付添費として,1日3300円。


⑤休業損害

休業損害は,就労形態などによって算定方法が異なるため,就労形態別に説明します。

ア 給与所得者
事故前の収入を基礎として,交通事故による受傷によって休業したことによる現実の収入減を請求することになります。

なお、有給休暇を使用したときも,休業損害と認められます。

休業に伴う賞与の減額・不支給も休業損害と認められます。


イ 主婦
主婦は賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者然年齢平均の賃金(平成23年賃金センサスでは,年355万9000円)を基礎として,受傷のため家事を行えなかった期間について請求することになります。

兼業主婦の方の場合には,現実の収入と上記平均賃金とで,いずれか高い方が基準となります。


ウ 個人事業者
個人事業者は事故前年の確定申告書を基礎として,受傷によって就労できなかった期間について請求することになります。

この点,税金対策のために過少申告しており実際の収入は申告書記載金額よりも大きいとの主張は,原則として認められないと考えておいた方がいいでしょう。
 

⑥傷害慰謝料

傷害慰謝料は,外傷を受けたことに対する肉体的苦痛や入通院加療を余儀なくされることなどに対する苦痛を緩和するために支払われる金銭をいいます。

傷害慰謝料については,原則として入通院期間を基礎として算出します。通院期間については,原則として,退院後から症状固定日までの期間で判断することになりますが,通院が長期で,かつ不規則である場合には,実通院日数の3倍から3.5倍程度を通院期間の目安とすることがあります。

具体的な金額につきましては,当事務所のホームページをご参考にして頂ければと思います(http://www.jiko-sos.jp/calc/001.html)。

高次脳機能障害のように,重傷事案の場合は,上記基準によって算定した傷害慰謝料を2割から3割程度増額して請求することもできます。


⑦後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は,後遺障害が残ったことに対する精神的・肉体的苦痛を慰謝するために支払われる金銭をいい,前述の傷害慰謝料とは別個に請求することができます。

後遺障害慰謝料は,裁判上後遺障害等級ごとに目安となる基準が定められています。例えば,14級の場合には110万円,1級の場合には2800万円とされています。

ただし,上記慰謝料額はあくまで目安のため,事案に応じて金額は増減することになります。例えば,加害者がひき逃げをしたり,刑事裁判で虚偽の供述を行った等悪質な事案の場合には,慰謝料増額事由があるとして,増額して請求することになるかと思います。

後遺障害慰謝料はあくまで本人の慰謝料であるところ,死亡に準じるような重篤な後遺障害が残存したときには,後述のように近親者にもいくらかの慰謝料請求権が認められています。
 

⑧逸失利益について

後遺障害逸失利益は,後遺障害を負ったことにより,事故前の労働を従前と同様には行うことができなくなって収入が減少するために失われる利益をいいます。

計算式は,

 基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

となります。以下,計算式の内容について説明します。
 

まず,基礎収入については,働いている方の場合には,原則として事故前年の年収が基準となります。他方,幼児,生徒,学生,専業主婦の場合には,全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金が基準となります。

次に,労働能力喪失率については,文字どおり,後遺障害によって失った労働能力の割合を意味します。

原則として後遺障害別等級表記載の労働能力喪失率にしたがって決められますが,裁判では,後遺障害の内容や就労に与える影響の程度等を考慮し,喪失率が増減することになります。

高次脳機能障害の場合には,外部から障害の有無・程度が認識しがたいため,たとえ自賠責において後遺障害等級認定を受けていても,労働能力喪失率を裁判で争われることが多い点に注意が必要です。

最後に,労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数については,まず就労可能年数は,原則として症状固定時の年齢から67歳までとされています。なお,年長の被害者については,年齢や仕事内容等を考慮した上で,症状固定時の年齢から67歳までの年数と症状固定時の年齢の平均余命年数の2分の1のどちらか長いの方を採用することもあります。

また,被害者が未就労者の場合には,18歳又は大学卒業後の年齢から67歳までの年数が基準となります。

次に,ライプニッツ係数とは,将来の収入を現在の一時金として受け取ることになるため,将来の収入時までの年5%の割合による利息を複利で差し引く係数をいいます。


⑨将来治療費等について

前述したように,治療費は事故日から症状固定日までの期間に要した費用を請求することになりますが,高次脳機能障害という重篤な後遺障害を負った場合には,症状固定したとしても,投薬等治療が継続となることがあります。

この場合,症状固定後の治療費を将来の治療費として請求していく余地があり,裁判上も,後遺障害等級の別表第1,1級1号,または2級1号,3級3号に該当するような重篤な場合には,症状悪化を防ぐための治療費・リハビリ費用が認められる傾向にあるといえます。


 

⑩将来介護費について

将来介護費は,被害者に後遺障害が残存した場合に,症状固定後に必要となる介護費用をいいます。

原則として,後遺障害等級の別表第1,1級1号,または2級1号の場合に認められますが,症状によって,別表第2,1級,2級あるいは3級以下の場合でも認められることがあります。

将来介護費の計算式は,

介護に要する年間の基準額×生存可能期間に対応するライプニッツ係数

となります。

基準額は,職業付添人の場合には実費相当額,近親者付添人の場合には日額8000円が目安とされています。

生存可能期間については,症状固定時の年齢からの平均余命年数が基準となります。


⑪成年後見申立費用

重度の高次脳機能障害が見られる場合には,同時に「事理を弁識する能力を欠く常況にある(本人が一人で日常生活をすることができない等,本人の判断能力が全くない場合)」として,事故による損害賠償請求と併行もしくは先行して,成年後見の申立がなされる場合があります。

このように,事故を原因として高次脳機能障害が生じたことによって成年後見の申立がなされる場合,その申立費用は当該事故と相当因果関係を有するものとして,損害として実費を請求することができます。


⑫医療器具等購入費

脳外傷による高次脳機能障害では,麻痺等身体的な障害が併発することがあります。

このような場合,そのままでは歩行をはじめ日常動作が困難であるため,被害者の方が日常生活を送るために,歩行用の杖や介護用のベッド,車椅子等の購入が必要となる場合があります。

そこで,上記器具等を購入した場合には,購入費用を損害として請求することができます。


 

⑬自宅改造費

高次脳機能障害によって生じる被害者の方の日常生活上の困難をできるかぎり回避するために,自宅を改築あるいは新築したり,移動に便利なようにエレベーター等設備を設置する必要が生ずることは多いといえます。

そこで,自宅改造等を行った場合には,当該改造費用を請求することができます。

もっとも,その改造の必要性,支出額の相当性が問題となることもあり,現実の費用額の一部に限定して損害賠償を認める裁判例も多いため注意が必要です。

また,当該改造が,他の家族にとってもその利便性が向上する性質のものであるような場合には,家族の人数等も考慮した上で,相当な範囲に限定されることも多いです

 なお,裁判時等,事故後ある程度の期間が経過してなお必要と主張する改造を行っていない場合(将来の改造費用等として主張するような場合)には,相当因果関係を有しないと認定されることもありますので,この点も注意が必要です。


⑭車両購入費・改造費

高次脳機能障害の後遺障害が残り,車椅子生活を余儀なくされた方が自立した生活を営む上では,移動手段の確保が重要になります。

そこで,被害者の方が車椅子のまま乗れる自動車が必要な場合には,そのように車両を改造するための改造費用や車両購入費用も請求することができます。

もっとも,自動車についても,裁判の際には,前述の自宅改造費と同様に,他の家族も乗るような場合には,その家族の利便性を考えて車両購入費の一部のみが損害と認められることもあります。

⑮将来雑費

高次脳機能障害のように重度の後遺障害が残った場合には,紙おむつ等の衛生用品が継続的に必要となることが多く,原則として後遺障害等級の別表第1,1級1号,または2級1号,3級3号に該当する場合には,将来の雑費として請求することができます。

計算式は,

 年額×生存可能期間に対応するライプニッツ係数

となります。


⑯近親者慰謝料

交通事故における損害賠償は,事故に遭った被害者本人の損害を限度として認められるのが原則です。

しかし,高次脳機能障害のように,被害者が重度の傷害を負い,死亡に準じるような重篤な後遺障害が残存したときには,近親者にも固有の慰謝料が認められることがあります。


⑰弁護士費用

裁判になって弁護士が必要と認められる事案では,認容額の10%程度が弁護士費用として認められることがあります。 

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